デロンギの全自動コーヒーマシンの中でも、長年人気の高いエントリーモデルが「マグニフィカ」シリーズです。特に「マグニフィカS（ECAM22112B/Wなど）」は定番として親しまれてきましたが、2023年11月には後継機種となる「マグニフィカスタート（ECAM22020B/Wなど）」が新たに登場しました。
どちらも手軽に本格的なコーヒーを楽しめると人気ですが、いざ購入を検討すると、この新旧モデルの違いが分かりにくく、どちらを選べば良いか迷ってしまう方も多いでしょう。
マグニフィカSとマグニフィカスタートを比較する上で特に重要な違いは、「操作性/デザイン」「抽出できるコーヒーメニュー」「価格設定」の3点です。
この記事では、両モデルを愛用者の意見も交えながら徹底的に比較し、あなたが重視したいポイントに応じて最適な一台を選ぶための詳細な情報をご紹介します。
マグニフィカSとマグニフィカスタートの7つの重要な違い
マグニフィカSとマグニフィカスタートは、基本性能（エスプレッソ抽出能力、カフェ・ジャポーネ機能、お手入れのしやすさなど）は共通していますが、新モデルであるスタートにはいくつかのアップグレードや仕様変更が見られます。
まず、両モデルの主な違いを以下の7つのポイントから解説します。
1. 操作パネルのデザインと使いやすさ
両モデルで最も印象が異なるのが、操作性とデザインです。
マグニフィカS は、クラシックでモダンな佇まいが魅力のモデルです。操作パネルは、物理的なボタンとダイヤルが特徴となっており、ダイヤルを回して豆量を調整する際など、アナログな操作感を楽しむことができるという声もあります。
一方、マグニフィカスタート は、丸みのあるデザインに加えて、洗練されたタッチパネル式を採用しています。凹凸が少ないフルフラットのパネルは、スタイリッシュな見た目だけでなく、日々の埃や汚れを拭き取りやすいというメリットもあります。コーヒーの濃さもアイコンで直感的に3段階で選べるため、初めてデロンギのマシンを使う方でも操作に迷いにくい設計といえるでしょう。
2. 抽出メニューの違い：「スペシャルティ」の有無
淹れられるコーヒーメニューの種類にも違いがあります。
どちらのモデルも、イタリア流の「エスプレッソ」と、デロンギが日本市場向けに開発した「カフェ・ジャポーネ」（エスプレッソの旨味とドリップコーヒーのようなすっきりした後味を両立させた深蒸しレギュラーコーヒー）の抽出に対応しています。
マグニフィカスタートの最大の特徴は、新メニューである「スペシャルティ」コーヒーの抽出が可能な点です。スペシャルティとは、フルーティーで繊細な風味が楽しめる、ライトな味わいのコーヒーのことで、中煎りや浅煎りの豆との相性が良いとされています。豆の個性を際立たせた、すっきりとした味わいを好む方に適した機能でしょう。
なお、マグニフィカSには「ロングコーヒー」の専用ボタン（ECAM23120の場合）がありますが、マグニフィカスタートでもエスプレッソの抽出を継続させることで、ロングコーヒーに近い味わいを応用して楽しむことが可能です。
3. ミルク泡立て機能の違い（モデルと手軽さ）
ミルクメニューの対応は機種選定の大きなポイントになります。
エントリーモデルである「マグニフィカS（ECAM22112）」と「マグニフィカスタート（ECAM22020）」は、いずれも手動式のミルクフロッサーを搭載しており、きめ細かく滑らかなフォームミルクを作り、カプチーノやカフェラテを楽しむことができます。ただし、泡立てる技術や慣れが必要という声もあります。
さらに、マグニフィカスタートには、自動でミルクメニューが作れる「ラテクレマ™ ホット」を搭載したモデル（ECAM22062など）が存在します。このモデルを選べば、ボタン一つでふわふわのリッチなミルクフォームを使ったカプチーノなどが全自動で淹れられます。ミルクメニューを頻繁に飲む方や、手軽さ、安定した品質を重視する方には、このラテクレマ™搭載モデルが有力な選択肢となるでしょう。
4. コーヒー濃度調整（無段階 vs 3段階）
コーヒーの濃さ（豆の量）の設定方法にも違いがあります。
マグニフィカS は、ダイヤル式による無段階調整が可能です。これにより、コーヒーの濃度を細かく微調整したい、こだわり派の方にとっては自由度が高い設計といえます。
一方、マグニフィカスタート は、タッチパネルでの3段階（マイルド・スタンダード・ストロング）から選択する方式です。こちらは直感的で分かりやすく、多くの人にとって十分な調整幅と評価する声もあります。
5. 抽出温度の設定段階
抽出するお湯の温度設定にも差があります。
マグニフィカS は4段階の温度設定が可能ですが、マグニフィカスタートは3段階（低温・中温・高温）の設定となります。コーヒー豆の種類によって最適な抽出温度が異なるため、より細かく温度管理をしたい方にはマグニフィカSが向いているかもしれません。
6. 価格設定
一般的に、マグニフィカSが最も価格を抑えたエントリーモデルとされています（公式価格で7万円前後）。
マグニフィカスタート（スタンダードモデル）の定価はマグニフィカSよりも高めですが（公式価格で10万円前後）、タイミングによってはマグニフィカSと価格差がほとんどない、あるいは安価になるケースも見られます。そのため、購入時の実売価格の比較が非常に大切です。
もし自動ミルク機能（ラテクレマ™ ホット）を搭載したマグニフィカスタート（ECAM22062）を選んだ場合、価格はさらに上がり、マグニフィカSの約2倍程度になる傾向があります。
7. ウォーターフィルターの付属品と機能
水質管理に関する違いも見られます。
マグニフィカスタートには、購入時にウォーターフィルターが付属しており、交換時期になるとアイコンで知らせてくれる機能が搭載されています。フィルターは、水のミネラル分を減らしてコーヒー豆本来の味わいを引き出し、さらにマシン内部の石灰の付着を軽減することで、除石灰作業の頻度を減らすサポートをするとされます。
マグニフィカSもフィルター設置自体は可能ですが、本体には付属しておらず、交換タイミングの管理を自分で行う必要があります。
マグニフィカSとマグニフィカスタートの共通点
主要な違いがある一方で、デロンギの全自動マシンとしての基本的な魅力や機能は両モデルに共通しています。
- 挽きたての美味しさ：どちらも豆ホッパーとコーン式グラインダーを内蔵し、淹れるたびに豆を挽くため、いつでも新鮮な香りと味を楽しめます。
- エスプレッソとカフェ・ジャポーネ：どちらの機種も、本格的なエスプレッソと、日本人好みに調整されたカフェ・ジャポーネの抽出が可能です。
- お手入れの手軽さ：電源ON/OFF時や抽出後に自動内部洗浄機能が働き、抽出ユニットやカス受け、水タンクなど日常的に触るパーツは本体前面から簡単に取り外して水洗いができます。
- サイズ感：本体のサイズ（幅23.8～24cm × 高さ35cm）や重さ（9.0～9.5kg）は、わずかな差はありますが、どちらも比較的コンパクトで家庭用として使いやすい設計です。
利用者の声から見える傾向と注意点
実際に利用されている方の声からは、それぞれのモデルが持つ魅力と、購入前に知っておきたい注意点が見えてきます。
マグニフィカSの利用者の傾向
マグニフィカSは、「価格が高い買い物だったが、QOL（生活の質）が向上した」と感じる声や、「操作がシンプルで分かりやすく、機械が苦手でも直感的に使える」という意見が多く見られます。
一方で、豆を挽くグラインダーや抽出時の動作音は大きめに感じるという意見も一定数見受けられます。また、手動のミルクフロッサーは、きめ細かい泡を作るのに慣れや練習が必要だという声もあります。
マグニフィカスタートの利用者の傾向
マグニフィカスタートは、「タッチパネル式でスタイリッシュな見た目が気に入った」というデザインへの満足度が高い傾向があります。
特に、スタンダードモデル（ECAM22020）で搭載されたスペシャルティ機能については、「すっきりした味わいでドリップコーヒーに近い」と好評です。
また、ラテクレマ™搭載モデル（ECAM22062）では、「ボタン一つでお店品質のきめ細かいカプチーノが作れる」という感動の声が多く、ミルクメニューの頻度が高い人にとっての利便性の高さが際立っています。
注意点として、全自動コーヒーメーカー全般にいえますが、自動洗浄機能があっても、カス受けやトレイ、そしてミルクを使った後のコンテナ（ECAM22062の場合）など、部品を取り外しての日常的な手入れは欠かせないため、手間を感じる方もいるようです。
結局、マグニフィカSとマグニフィカスタートはどちらがおすすめ？
マグニフィカSとマグニフィカスタートは、どちらもデロンギのエントリーモデルとして非常に完成度が高い製品ですが、重視するポイントによって最適なモデルが異なります。
| 選ぶべきモデル | おすすめする人のタイプ |
|---|---|
| マグニフィカスタート (ECAM22020) | 新しいデザインとスペシャルティを重視する方。価格差が小さいタイミングで、より新しいモデルを選びたい方。タッチパネルで直感的に操作したい方。 |
| マグニフィカスタート (ECAM22062) | ミルクメニューを全自動で手軽に楽しみたい方。予算に余裕があり、機能と利便性を最優先する方。 |
| マグニフィカS (ECAM22112) | 初期費用とコストパフォーマンスを最優先する方。クラシックなデザインとダイヤル操作が好きで、濃度や温度設定を細かく調整したい方。ブラックコーヒーが中心で、スペシャルティにこだわらない方。 |
マグニフィカスタートがおすすめな人
スペシャルティコーヒーという新たなメニューを試したい方、または、スタイリッシュなタッチパネル式の操作性を優先し、最新のモデルを選びたい方におすすめです。ウォーターフィルターが付属しているため、水質を安定させ、メンテナンスの手間を軽減したい方にも向いているでしょう。
マグニフィカSがおすすめな人
デロンギの本格的なコーヒーを最も手頃な価格で体験したい方、また、ダイヤル操作による無段階の濃度設定など、カスタマイズ性を重視して自分好みの味を追求したい方にとっては、マグニフィカSが依然として有力な選択肢です。スペシャルティ機能にこだわりがなく、基本的なエスプレッソとカフェ・ジャポーネがあれば十分だと考える実用性重視の方に最適でしょう。
まとめ
デロンギのマグニフィカSとマグニフィカスタートは、どちらを選んでも挽きたての本格的なコーヒーを自宅で手軽に楽しめる、魅力的な全自動マシンです。
マグニフィカSは、価格的な手頃さと、ダイヤルによる細かな調整ができる点が評価される定番の入門機です。一方、マグニフィカスタートは、最新のタッチパネルによるスマートな操作性と、スペシャルティコーヒーという新しい楽しみ方が加わりました。
もしあなたがデザインの新しさやスペシャルティメニューに惹かれているならマグニフィカスタートを、とにかくコストを抑えて、シンプルにデロンギの良さを体験したいならマグニフィカSを選んでみてはいかがでしょうか。
ご自身のコーヒーライフにおいて、「何を最も重視するか」をじっくりと検討し、納得のいく一台を見つけてください。きっと、毎日のコーヒー時間がより豊かなものになるはずです。
