毎日の食卓に欠かせない炊きたてのごはん。家電メーカー、タイガーが発売する「ご泡火炊き」シリーズの圧力IHジャー炊飯器は、その高い炊飯技術で人気を集めていますね。
今回は、特に多くの方が比較検討される「JPI-A100」と「JPI-S100」の違いに焦点を当てて詳しく解説します。JPI-A100は2020年8月発売のモデルで、JPI-S100は2022年8月に発売された後継モデルです。
結論から申し上げると、どちらも「ご泡火炊き」を搭載した高性能モデルですが、JPI-S100は内なべの性能向上、新プログラム、そしてお手入れ機能の強化が大きな特徴です。予算や重視する機能によって最適なモデルが変わってきますので、ぜひ参考にしてみてください。
JPI-A100とJPI-S100の主な違い：内なべの進化と新プログラム
JPI-A100とJPI-S100は、どちらも「ご泡火炊き」という、土鍋に近い高火力・遠赤効果と細やかな泡立ちでお米を炊き上げる技術を採用しています。しかし、JPI-S100には炊き上がりと保温の質をさらに高めるための改良が施されています。
JPI-S100は内なべの泡立ちと蓄熱性が向上
両モデルとも内なべには「遠赤9層土鍋かまどコート釜」が採用されていますが、釜底の形状に違いが見られます。
JPI-S100の内なべには、底面から曲面部分にかけて約6,500個の細かい凸形状を持つ「泡立ち加工」が施されています。これにより、炊飯時の沸騰による泡立ちと対流が強化され、お米ひと粒ひと粒を包み込み、ふっくらと炊き上げる効果が期待できるでしょう。
一方、JPI-A100も同様にご泡火炊きを取り入れていますが、JPI-S100と比べるとこの泡立ち加工が約3,000個の凸形状とされており、JPI-S100の方がより細やかな泡立ちを実現できる設計となっています。また、JPI-S100では釜外側に「ヒートカットパウダー」という蓄熱性を高める素材が採用されており、ご飯の甘さを引き出すサポートをするとされています。
新開発された「旨み粒立ち炊飯プログラム」と「粒立ち保温プログラム」
JPI-S100の大きな進化点として、「旨み粒立ち炊飯プログラム」と「粒立ち保温プログラム」の二つの新機能が搭載されました。
「旨み粒立ち炊飯プログラム」は、土鍋圧力IHジャー炊飯器の温度コントロールを参考にして開発されており、従来よりも低い温度で長く吸水した後、急速に温度を上昇させることで、お米の甘みと弾力を引き出し、ふっくらとした炊きあがりを実現します。
さらに、「粒立ち保温プログラム」は、保温中に蒸気センサーを使って蒸発水量を感知し、水分をごはんにとどめるように温度を調整します。これにより、ご飯のパサつきを抑え、時間が経過しても粒の輪郭を保ったまま、炊きたてのようなおいしさが楽しめる可能性が高まります。
特に、一度に多く炊いて長時間保温する機会が多いご家庭では、JPI-S100のこの保温プログラムは非常に役立つでしょう。
お手入れのしやすさに関する違いを比較
毎日使う炊飯器だからこそ、お手入れのしやすさも重要な比較ポイントです。
圧力洗浄コースと食洗機対応パーツの違い
JPI-S100には、高温の水蒸気で内なべと内ぶたを洗浄する「圧力洗浄コース」が搭載されています。手洗いが難しい蒸気の通る部分のにおいを、この機能を使うことで除去しやすくなるため、炊き込みご飯や炊飯器で調理をする方にとっては魅力的な機能といえます。なお、JPI-A100にはこの圧力洗浄コースは搭載されていません。
また、お手入れ時に食洗機が使えるパーツにも違いがあります。
- JPI-A100：スチームキャップのみ食洗機に対応しています。
- JPI-S100：内ぶたとスチームキャップの両方が食器洗い乾燥機に対応しています。
お手入れの手間を減らし、時短につなげたい場合は、食洗機対応パーツが多いJPI-S100がおすすめです。
付属品の違い：抗菌加工しゃもじの有無
JPI-S100には、SIAA（抗菌製品技術協議会）認証の抗菌加工しゃもじが付属品として付いてきます。抗菌加工により、菌の増殖を抑えるのをサポートするとされています。JPI-A100には通常のしゃもじが付属しています。
JPI-A100とJPI-S100の価格帯と共通する魅力
コスパ重視ならJPI-A100が有力な選択肢
JPI-A100はJPI-S100よりも発売時期が早いため、一般的に価格が安いというメリットがあります。価格を比較したデータによると、JPI-A100はJPI-S100と比べて1万円以上の価格差が見られる場合があるようです。予算を重視したい方や、高機能よりも価格の安さを優先したい方には、JPI-A100がおすすめでしょう。
共通する基本性能と炊飯技術
両モデルともに、以下の強力な共通機能を持っています。
- 加熱方式: どちらも圧力IH式を採用しており、「釜包みIH」と「可変W圧力」を搭載しています。内釜全体をIHで包み込み、大小2つの圧力ボールを制御することで、ねばりと弾力を引き出し、べたつきを抑えたしっかりとしたご飯粒に仕上げます。
- 少量旨火炊き: どちらも0.5合から2合までの少量でも、最適な火加減で甘みとハリを引き出す「少量旨火炊き」機能を搭載しています。
- 豊富な炊飯メニュー: 「冷凍ご飯」メニューや「少量高速」（1合が約17分で炊飯可能とされる）、「極うま」「すし・カレー」「ヘルシーメニュー（玄米、雑穀）」など、多彩なメニューが揃っています。
口コミの傾向
実際のユーザーの意見を見てみると、JPI-A100とJPI-S100は、どちらも「とても美味しく炊ける」「お米が甘くてもっちりする」といった炊き上がりに関する高い評価が多く見られます。
しかし、JPI-S100については、「ご飯が冷めても美味しい」という意見や、「少量早炊きが速い」点に満足している傾向があります。JPI-A100についても「とても美味しく炊ける」という意見がある一方で、「ご飯が柔らかすぎる」と感じる声も見受けられます。
どちらを選ぶべきか？判断のポイント
JPI-A100とJPI-S100は、基本的な炊飯性能である「ご泡火炊き」と「可変W圧力」は共通しています。どちらを選ぶかは、「プラスアルファの機能」と「予算」のどちらを重視するかによって決まります。
JPI-S100がおすすめな方
- 保温機能を頻繁に利用する方: 新しい「粒立ち保温プログラム」により、長時間たってもみずみずしさと粒の輪郭を保ち、ふっくらしたご飯を楽しめる可能性が高まります。
- 炊飯器でにおいの強い調理をする方: 「圧力洗浄コース」が、においの除去をサポートしてくれます。
- お手入れの手間を極力減らしたい方: 内ぶたも食洗機に対応しているため、お手入れが簡単になります。
JPI-A100がおすすめな方
- 価格を抑えたい、またはコスパを重視する方: JPI-S100に比べて安価な価格設定になっています。
- シンプルに美味しいご飯が炊ければ十分な方: JPI-A100も十分な高機能モデルであり、お米の甘みや弾力を引き出す技術は搭載されています。
- ご飯を炊く都度、食べきるという方: 長時間の保温機能にそこまでこだわらないのであれば、シンプルな機能のJPI-A100でも十分に満足できるでしょう。
まとめ
タイガーの炊飯器、JPI-A100とJPI-S100の比較を通じて、それぞれの特徴が見えてきましたね。
JPI-A100は、高性能ながらも価格を抑えたい場合に適した、バランスの取れたモデルといえます。一方、JPI-S100は、内なべの泡立ちの強化、新プログラムによる炊き上がりや保温の質の向上、そしてお手入れ機能の充実に重点が置かれた、より進化したモデルです。
ご自宅でのご飯の楽しみ方や、炊飯器に求める利便性を考慮して、最適な一台を選んでいただければ幸いです。
